近年、食卓に彩りを添える食材として、エディブルフラワーと呼ばれる食べられる花が注目されています。
見た目に美しい! SNS映えする!だけでない、エディブルフラワーの魅力をご紹介します。
エディブルフラワーって何?
エディブルフラワー(Edible =食べられる + Flower=花)とは、安全に栽培された食用花のことです。
日本では昔から菊の花や穂紫蘇の花などを食べていますが、エディブルフラワーと呼んだときにはそれらは指さず、主に近年になって洋食で使われるようになった花を指します。
エディブルフラワーとして市場に出ている花の中には、観賞用として知られている花と同じ種類のものはありますが、食用にするために農薬使用や衛生管理を厳格化して生産しています。
エディブルフラワーの魅力
エディブルフラワーの魅力は、何と言ってもその美しさです。鮮やかな色彩と繊細な形は、料理を華やかに彩り、食卓をより優雅な空間へと演出してくれます。
また、花によって異なる香りや味わいも魅力の一つです。ほんのり甘いもの、爽やかなもの、スパイシーなものなど、様々な風味があり、料理に奥深い味わいを与えてくれます。
日本のエディブルフラワーの歴史
日本では、縄文時代から菜の花や木の実を食べていたとされます。
平安時代には菊の花を薬膳として用いていた記録があります。
江戸時代には民間で食用菊が「甘菊」と呼ばれて普及し、歌人の松尾芭蕉も好物だったとか…。
また、塩漬けした桜の花にお湯を注いだ「桜湯」は結婚式には欠かせない飲み物でした。
今のようなエディブルフラワーと呼ばれる、観賞用としても楽しめる食用花が日本で広く認知されるようになったのは、1980年代のことです。
当時はイタリア料理のブームとともに、洋食の飾り付けとしてパンジーやビオラなどの花が使われ始めました。
その後、1993年に農林水産省が食用花に関するガイドラインを策定したことをきっかけに、エディブルフラワーの栽培や流通が活性化しました。
近年では、和食や中華料理にも取り入れられるようになり、すっかり食卓に馴染みの食材となりました。
エディブルフラワーの種類
エディブルフラワーの種類は、とても豊富です。以下に、代表的なエディブルフラワーとその特徴をいくつかご紹介します。
パンジー・ビオラ
甘い香りが特徴で、サラダやデザートにぴったりです。
色鮮やかな花びらは、料理の彩りに最適です。
ビオラの砂糖漬けは、作曲家ショパンやオーストリア皇妃エリザベートも愛した高級スイーツでした。
ナスタチューム
オレンジの可愛い花で、カイワレ大根のようなピリッとした味わい。
エディブルフラワーの定番で、サラダのほか、肉・魚料理にぴったり。
カーネーション
ほんのり甘い香りが特徴で、ケーキやゼリーなどの飾り付けにおすすめ。
花びらを乾燥させてお茶にすることもできます。
明治の詩人の北原白秋が、花瓶に挿したカーネーションを食べる…という逸話を残しています。
リナリア(姫キンギョソウ)
甘さとほろ苦さの組み合わさった味わい。スイーツのデコレーションや、カクテルやドリンクに添えて使われます。
ローズ
華やかな香りが特徴で、紅茶やハーブティーに最適。
ブルガリアでは古くからバラのジャムが作られています。
中国ではバラのお茶が昔から飲まれており、中東ではバラ水を使ったお菓子が人気です。
マリーゴールド
柑橘系の香りが特徴で、サラダや魚介類の料理に合う
花びらを乾燥させてお茶にすることもできる
ボリジ
きゅうりのような風味が特徴で、サラダやスープにぴったり
花びらを乾燥させてお茶にすることもできる
エディブルフラワーの使い方
エディブルフラワーは、サラダやデザート、飲み物など、様々な料理に活用することができます。
サラダに散らしたり、ケーキやゼリーに飾ったり、ハーブティーに浸したりと、アイデア次第で様々な楽しみ方ができます。
また、花びらを乾燥させてパウダー状にして、スパイスや調味料として使うこともできます。
サラダ
- 花びらを散らす
- 花びらを刻んでドレッシングに混ぜる
デザート
- ケーキやゼリーに飾り付ける
- 花びらを砂糖漬けにしてアイスクリームに添える
飲み物
- ハーブティーに浸す
- 花びらを乾燥させてお茶にする
その他
- 花びらを乾燥させてパウダー状にして、スパイスや調味料として使う
- 花びらを塩漬けにして、ご飯のふりかけにする
エディブルフラワーを食べる時の注意点
エディブルフラワーは、食卓を華やかに彩り、料理に新しい味や香りを加えてくれる素敵な食材です。
しかし、安全に楽しむために、いくつか注意点があります。
1.食用として販売されている安全なものを使う
すべての花が食べられるわけではありません。観賞用の花の中には、毒性があったり、農薬が使われていたりして食用に適さないものがあります。必ずエディブルフラワーとして販売されているものを選び、食用として安全かどうか確認しましょう。
例え同じ品種であっても、一般的に販売されている観賞用の花は食用に適した管理がされていないので、絶対に食べないでください。
2.新鮮なものを使う
エディブルフラワーは鮮度が落ちやすい食材です。花びらが鮮やかで、しおれていないもの、香りが良いものを選びましょう。
3.よく洗う
エディブルフラワーは土や虫が付着していることがあるので、食べる前に流水でよく洗いましょう。ただし、花びらが弱いため、ゴシゴシ洗うのは避け、優しく洗い流すようにします。
4.食べ過ぎない
エディブルフラワーによっては、食べ過ぎるとお腹が痛くなったり、下痢をしたりすることがあります。初めて食べる場合は、少量から様子を見ながら食べるようにしましょう。
5.アレルギーがある場合は注意する
花粉症などのアレルギーがある場合は、エディブルフラワーによってはアレルギー反応を起こす可能性があります。アレルギー体質の方は食べる前に注意しましょう。
6.子供の手の届かないところに保管する
エディブルフラワーは、小さなお子様にとっては誤飲の危険があります。子供の手の届かないところに保管しましょう。
その他
エディブルフラワーの中には、苦味や酸味など、独特の味や香りを持つものがあります。料理の味や香りに影響が出ないか、事前に確認してから使うようにしましょう。
エディブルフラワーは日持ちがしません。できるだけ早く食べるようにしましょう。
まとめ:エディブルフラワーで食卓に新風を!
エディブルフラワーを食卓に取り入れることで、食事をより楽しく、美味しくすることができます。
また、見た目も味も華やかなエディブルフラワーは、おもてなしにも最適です。ぜひ取り入れて新感覚の食卓を楽しんでみてはいかがでしょうか。
エディブルフラワーは、花屋さんや一部のスーパーマーケットで購入することができます。また、インターネット通販でも購入できます。
ここでふれた点に注意して、エディブルフラワーを安全に、美味しく楽しんでくださいね。