回を追う毎に反響も大きくなる、aplodの学術顧問・医学博士の久保明先生の人気コラム!
「サイエンスは変化する」シリーズ第12回は「老化と老化抑制のトピックス」。
古来より人が追い求めて止まない「不老の霊薬」は実現可能なのでしょうか。
医学博士:久保 明
老化と老化抑制のトピックス
私たちの身体は日々老化しています。
脳や筋肉の病的老化のあらわれが“認知症”であり“フレイル(虚弱)”といえるでしょう。そのような“臓器”としての老化は徐々に日常生活に影響し、その質を低下させてしまいます。
血圧、血糖、コレステロールなどが老化や血管の老化である動脈硬化進展に関わっていることは、皆さんも良く知ってらっしゃると思います。
老化を抑制するワクチンが登場する⁉
最近では炎症や免疫がここに深く関わっていることが明らかになりました。するかしないかの議論はともかく、新型コロナやインフルエンザにならないような対策の一つとして免疫に関わるワクチンがあるのですが、老化や動脈硬化についてもワクチンが開発されつつあるのです。
リンパ球の中のT細胞にはヘルパーとキラーという二種類が含まれその機能が低下することで炎症が生じ、老化細胞も蓄積するのです。
この老化細胞の表面に発現する目印(GPNMBという抗原=目印)に対して働きかけて除去して老化や動脈硬化を抑制しようとするのがそのメカニズムです。
老化細胞を除去する成分とは
ヒトに使ってその効果を確かめるまでにはかなりの時間を要するでしょうから、それまでの間は老化細胞を除去する可能性を有しているSenolyticsと呼ばれる多くの候補物質の一つであるケルセチン(玉ねぎに含まれるフラボノイド)をせっせととることにしましょうか。
久保先生の2025年最初のコラム、いかがでしたでしょうか。サイエンスが不老の霊薬を実現する日は来るのか、今後の展開が楽しみですね。