更新するたび反響の大きい、aplodの学術顧問・医学博士の久保明先生の人気コラム!今回も先進の医療情報について分かりやすく解説していただきます!
「サイエンスは変化する」シリーズ第10回は「動脈硬化の意外な原因」。環境問題で良く話題になるあの物質が、人体にも影響を与えているというお話しです。
サイエンスは変化する Vol.10
医学博士:久保 明
動脈硬化の意外な原因
心筋梗塞、脳卒中などの血管障害は動脈硬化をもとに生ずることは良く知られています。
動脈硬化は血液の性状だけでなく血管の状況も深く関わっています。
動脈硬化の検査と治療手段
外から比較的簡便に血管の状況を把握できる検査が“頸動脈超音波(エコー)検査”です。
この検査では血管の内側、血液に接するところがどのくらい老化しているかがわかるのです。
著者(久保)も2~3年に一回検査を受け、“動脈硬化は自覚症状なしに進むんだ!”と改めて認識しているのです(笑)。
この頸動脈の動脈硬化が進行すると脳への血流が途絶してしまいます。そうならない治療手段として頸動脈を開いて内膜の血栓をクリアにする手術があります。
日本ではそこまでせずに薬物を用いたり、ステントと呼ばれるものを入れて血流を確保することも選択肢となっています。
心筋梗塞や脳卒中のリスクを上げる物質
前者の内膜をクリアにする手術と受診者の状況などの臨床研究がイタリアの大学で行われ、プラスティックの微小粒子が血栓に含まれていたという結果になったのです。そしてプラスティックの微小粒子が血栓に含まれている場合は心筋梗塞や脳卒中のリスクが約2倍!というのです。
すぐにプラスティック製品を止める、というわけにはいきませんが動脈硬化がある(ここでは頸動脈)場合には少し控えるということも予防策の一つかもしれません。