大好評! aplodの学術顧問・医学博士の久保明先生が、先進の医療と健康の情報を分かりやすく解説してくれるコラムです。
「サイエンスは変化する」シリーズ第8回は「からだの中でおこっている新陳代謝」。前々回でもふれた「オートファジー」と「加齢」についての話題です。
サイエンスは変化する Vol.8
医学博士:久保 明
からだの中でおこっている新陳代謝
私たちは毎日、毎秒加齢しています。ただ同じ年数加齢していても中身や外見はずいぶん異なっているのが現実ですね。この差を説明することでエイジングの謎に迫る大きな動きがでてきています。
“オートファジー”2016年に大隅博士がノーベル賞を受賞され、人における研究は吉森博士たちによって進められています。
一時期メディアでも取り上げられることが多かったのでなんとなく覚えておられる方もいらっしゃると思います。
このオートファジーは有害物(病原体など)を除去するはたらきのほか、身体にとって大切なタンパク質のリサイクリングにも関わっています。
さらにミトコンドリアがしっかり働く支えにもなっているのです。そしてオートファジーのはたらきを抑えてしまう“ルビコン”という物質も存在します。
細胞からエイジングの質を上げるには?
オートファジーをしっかりはたらかせてエイジングの質を上げるには高脂肪食を避け、夕食を早めにとって、適度な有酸素運動をすることが良いとされます。
サプリメントの成分ではスペルミジン、レスベラトロール、カテキン、グルコサミン、セサミンなどがあげられます。
以前は「細胞の中で起きていることは関係ないのでは?」という感じでとらえられていましたが、サイエンスの進歩によって細胞の緻密なメカニズムがヒトの健康に関わることも明らかになってきたのです。
このオートファジーが今の自分の身体でどの程度活性化しているかはまだ臨床レベルではわかりませんが、オートファジーを抑えるルビコンについては近い将来数値化されそうです。
健康度の指標はコレステロールや血糖にとどまらず細胞レベルまで広がってきたのですね。
いかがでしたでしょうか?
ここでしか読めない久保明先生のコラム、次回もご期待ください。