aplodの学術顧問・医学博士の久保明先生が先進の医療や健康の情報を分かりやすく解説するコラムをお届けします。
「サイエンスは変化する」シリーズ第5回は「睡眠のサイエンス」。
睡眠と健康、また睡眠と病気のリスクの関係について解説しています。
サイエンスは変化する Vol.5
医学博士:久保 明
睡眠のサイエンス
睡眠はレム睡眠とノンレム睡眠があって前者は夢を見ているような状態、後者は深い眠り、などの説明は見たり聞いたりしたことがあると思います。
現在厚生労働省は“健康づくりのための睡眠指針”の改訂作業を行っていますがそのポイントを掲げます。
健康作りのための睡眠指針の改定ポイント
- 15歳で8時間の睡眠時間は65歳では6時間となり20年歳をとるごとに約30分睡眠時間が短くなる。
そして加齢とともに睡眠覚醒相が前倒しとなり早寝早起きの傾向となる。
睡眠時間を10時間以上必要とする場合、ロングスリーパーと呼びます。
- 日本人約4万人、7年間の研究では睡眠時間が6時間未満では7~8時間の人に比べて狭心症などの心血管障害が4.95倍多くなる。
- 良く“寝だめは好ましくない”と言われるが、この研究では通常6時間以上寝ている人は休日に1時間の寝だめは問題ないことが示された一方通常6時間未満の人がこのような寝だめをすると寿命が短縮することが明らかになったのです。
- さらに高齢者では睡眠時間8時間以上で死亡リスクが33%増加し、9時間以上ではアルツハイマー病の発症率が増えました。
睡眠はアルツハイマー病で脳内に沈着するアミロイドベータ(Aβ)を減らす働きも示されていただけにとらえ方が難しい結果です。
眠れなくなるほど面白い?睡眠のサイエンス
あまり気にしすぎると眠れなくなりそうですが(笑)睡眠のサイエンスも変わっています。