aplodの学術顧問・医学博士の久保明先生が先進の医療や健康の情報を分かりやすく解説するコラムをお届けします。
「サイエンスは変化する」シリーズ第4回は「肝臓よおまえもか」。
高脂血症などの病名が新しいものに変更される背景について解説しています。
サイエンスは変化する Vol.4
医学博士:久保 明
肝臓よおまえもか
病名がわずかに変化することがあります。
慢性関節リウマチは“慢性”がとれて関節リウマチとなりましたし、高脂血症はHDLコレステロールが低い状態が入っているのは整合性がないので脂質異常症となりました。
これらは病態面からの考慮によるものですが、社会的な影響力を考慮した病名変更が行われようとされています。
脂肪肝の新しい名称
脂肪肝は人間ドックなどでもかなりの頻度となることが指摘されています。
この英語訳であるfatty liverが“太っちょ”という意味でとらえられることから脂肪性肝疾患としてまとめられ、メタボリック症候群の基準を満たす場合とそうでない場合に分けられる事になったのです。MASLD(metabolic dysfunction associated steatolic liver Disease)とかMASHなどという名称がつけられました。
脂肪性肝疾患は将来肝臓がんになる可能性や不整脈などとも関わりが指摘されており、日本において無視できない病態です。
“糖尿病”の名称もいずれ変わる?
一方名称が変わることの煩雑さも否定できません。最近では“糖尿病”という名称も変更の動きがあります。
医療従事者の感覚と受診者の感覚に乖離がないようにしたいですね。