ほんの10数年前までは、コンビニで軽いランチを買う場合おにぎりやサンドイッチ、カップ麺などの炭水化物メインの軽食が主流でした。
今では小腹が減ったときの選択肢といえば、鶏胸肉や大豆、魚のすり身などで作ったプロテインバーなど、タンパク質を補給する軽食が人気です。
大注目のタンパク質ですが、今回は人間の身体に欠かせないタンパク質を構成するアミノ酸の中で、特に意識して摂る必要のある「必須アミノ酸」の種類と働きについてまとめました。
必須アミノ酸とは? なぜ必要なの?
私たちの体を構成する重要な要素であるタンパク質は、20種類のアミノ酸が結合してできています。
食事で摂ったタンパク質は、タンパク質のままで身体に使われるワケではありません。
タンパク質は消化によってアミノ酸に分解されて、新たに身体を維持する材料として使われるのです。
しかし、体内で生成できない=食事からしか摂れないアミノ酸が9種類存在します。これらを「必須アミノ酸」といい、食事から摂取する必要があります。
必須アミノ酸9種とその働き
9種の必須アミノ酸、それぞれの主な働きをご紹介します。
1. バリン
【バリンの主な働き】
- 筋肉の成長や修復を促進
- エネルギー源となる
- 免疫機能をサポート
2. ロイシン
【ロイシンの主な働き】
- 筋肉の成長や修復を促進
- 骨の健康を維持する
- 血糖値を調整する
3. イソロイシン
【イソロイシンの主な働き】
- エネルギー源となる
- 筋肉の成長や修復を促進
- 血糖値を調整する
4. メチオニン
【メチオニンの主な働き】
- 脂肪肝の予防
- ホルモンや神経伝達物質の生成
- 血管拡張
5. リジン
【リジンの主な働き】
- 骨や歯の形成
- コラーゲンの生成
- 免疫機能をサポート
6. フェニルアラニン
【フェニルアラニンの主な働き】
- 神経伝達物質の生成
- 気分を調節する
- 痛みを抑制する
7. トリプトファン
【トリプトファンの主な働き】
- セロトニンの生成 (幸せホルモン)
- 睡眠の質を高める
- 食欲を抑制する
8. スレオニン
【スレオニンの主な働き】
- コラーゲンの生成
- 免疫機能をサポート
- 脂肪燃焼を促進
9. ヒスチジン
【ヒスチジンの主な働き】
- ヘモグロビンの生成
- アレルギー反応の抑制
- 傷の治癒を促進
アミノ酸スコアとは?
アミノ酸スコアは、食品中の必須アミノ酸の含有比率を評価するための指標です。
FAO(国連食糧農業機関)とWHO(世界保健機関)が共同で定めた「小児用必須アミノ酸推奨量」を基準値として、体内で合成出来ない必須アミノ酸がどれくらいバランス良く含まれているかを数値で示したものです。
アミノ酸スコアが高いほど、その食品に含まれる必須アミノ酸のバランスが良く、体内で効率的にタンパク質として利用できることを意味しています。
注意しておきたいのは「最も含有量が低い必須アミノ酸の値」がスコアになるという事です。
どれかひとつの必須アミノ酸が沢山含まれている食品よりも、すべての必須アミノ酸が同じくらい含まれている食品のほうがアミノ酸スコアが高くなるのです。
アミノ酸スコアを意識した食事のポイント
アミノ酸スコアは、食品のタンパク質質を評価する指標の一つとして重要です。しかし、アミノ酸スコアが高い食品を単独で摂取すれば良いというわけではありません。
必須アミノ酸は、9種類全てがバランス良く揃っていることが重要です。そのため、アミノ酸スコアが低い食品であっても、他の食品と組み合わせることで、必須アミノ酸のバランスを補うことができます。
例えば、白米のアミノ酸スコアは50と低めですが、大豆のアミノ酸スコアは100と高めです。白米と大豆を組み合わせることで、必須アミノ酸のバランスを補い、良質なタンパク質を摂取することができます。
また、動物性食品と植物性食品を組み合わせて摂ることも重要です。
アミノ酸スコアの高い食品
以下に、アミノ酸スコアの高い食品の例をいくつか紹介します。
【動物性食品】
- 肉類: 鶏肉、牛肉、豚肉など
- 魚介類: 鮭、サバ、イワシ、マグロなど
- 卵
- 乳製品
【植物性食品】
- 豆類: 大豆、納豆、豆腐、小豆、など
- ナッツ類: アーモンド、クルミ、カシューナッツなど
- 穀物: 玄米、オートミール、キヌア、アマランサス、チアシードなど
これらの食品をバランスよく摂取することで、必要な必須アミノ酸を補うことができます。
必須アミノ酸は、サプリメントとしても摂取できます。しかし、サプリメントに頼るのではなく、食事から積極的に摂取することが重要です。
必須アミノ酸を意識して一歩進んだ食生活を!
タンパク質の大切さが広く知られ、プロテイン系食品がブームを超えて定着した昨今です。
さらに一歩進んで、身体のタンパク質を構成する必須アミノ酸を意識した食生活を心がけてみるのはいかがでしょうか。